北海道異文化移植計画

カンパニー・タオ代表
佐藤拓也
(札幌在住)


 北海道異文化移植計画を思いついたのは、あるテレビ番組を見ていたときだった。その番組では面白い高知の文化を紹介していた。それは、カップルが結婚する前に写真屋に頼んで二人の愛の軌跡を一つのアルバムにするというものであった。彼らは結婚式の時にお色直しを5回以上するのがざらで、その間お茶を濁すためにアルバムを親族に見てもらう。そのアルバムをつくるためにカメラマンをやとい、二人の思い出の地に赴いては再現シーンをフィルムに焼き付けるのだ。最近の流行は画面一杯にシャボンが広がるシーンと映画タイタニックの主人公二人が船首で両手を広げて抱き合うシーンだ。それ以外にも結婚する二人は銀幕のスター顔負けの写真を撮りまくる。なんと4〜50万円もかけて一冊の分厚いアルバムを作り上げる。
 テレビ番組の出演者たちも同様にため息をつきながら、「これはいい」と言っていたが、見ていた私も同様の思いにかられた。またなぜこのような文化が北海道にはないのだろうかとうらめしくも感じたのである。その時、私の脳裏には別の思いも横切った。「今はカメラマンも儲からないっていうし、こんなイベントがあればカメラマンにも収入の道が生まれるんじゃないだろうか?」
私にはこの高知の文化をうまく北海道に移植できないだろうか、ここから北海道においての新しいビジネスが誕生するのではないかという強い思いが湧いてきたのである。実際、まだこのビジネスを起こしているわけではないので説得力に欠けるのだが、このアイデアの背景にある文化移植の可能性について少し考えてみることにしよう。
 昔から地域性の違いや文化の違いなどを利用して利益をあげてきたビジネスに貿易というものがある。貿易はある地域に希少性のあるものを別の地域から仕入れ高く売るところから利益を得てきた。最初は国同士が希少性のあるものを相互に交換していたのであろうが、いつしかこのような貿易はある地域で希少性のあるものを希少性のない地域で仕入れ、高く売りつけるというビジネスに変容していく。つまり地域的な価格差を利用して商人たちは貿易で利益を得たのである。
今や、世界中を商社が徘徊し世界中の商品を消費してしまった。いまや物理的な商品になんのビジネスチャンスもニッチ(すきま)もないのである。
 じゃ私が今回、目をつけたのは何か、それは文化的な差異によって未だ普遍化していないもので、ある地域に移植すればかならずヒットするであろう魅力的な商品である。それが冒頭に掲げた結婚前写真のようなものだ。
 実際、札幌においてはよさこいソーラン祭りというものがあるが、これは高知のよさこい節とソーラン節をハイブリッドし、さらに現代的かつダンサブルなアレンジを採用することによって現代に祭りのダイナミズムを復活させたものだ。これは見事な文化の融合、文化の移植と呼べるものではないだろうか? このような文化移植による新しい事業の創出、新しい市場の創出というものを意識的かつ計画的に行えないだろうかと真剣に考えている。
 日本だけにかぎらず、世界を見渡せば、普遍性を持ちうる十分な可能性を孕みながら、いまだある地域でしか見ることの出来ない素晴らしい商品がたくさんあるのではないだろうか? 今この文章を書いていて思いついたのが「バンジージャンプ」。これはもともとオーストラリアのアボリジニ(原住民)たちのイニシエーション(成人の儀式)が現代的なアトラクションとしてリアレンジされたものだ。このようなものがもっともっとあるに違いない。それを探しだしてあらたなビジネスにしようではないか!
 しかも今や世界中の情報はインターネットを通じてリアルタイムに入手できる。私たちは時々刻々と更新される巨大なデータベースを自らのオフィスあるいは自宅に装備しているのである。こんなことは一時前には考えられなかったことである。私たちの眼前には無限のビジネスチャンスと市場が広がっているのである。これを利用しない手はないではないか!
 この文章を読んで、「私の地域にこんなものがあるけど使えないだろうか?」 「あそこにこんな風習があるけど面白いよな」というものがあればメールで送ってきてほしい。それで大きなビジネスが起こせれば金一封なんてことがあるかも?(^ ^)
ということでこの文章を終わりたいと思う。


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