道北地区GIS普及セミナー
電子自治体の推進と統合型GISについて

総務省自治行政局地域情報政策室長 斉藤 一雅氏

 

統合型GISとは

そもそも、「電子自治体とは何なのか」という話ですが、分かりやすく言えば「IT(情報通信技術)を活用することによって自治体の経営改革を行う」ということに尽きると考えております。要するに、いろいろな社会変化の中で、住民のニーズが大変高まってまいりまして、それに対して、如何に質の高い行政サービスを提供できるかということが一番問われています。あるいは、地方分権が進み自治体の仕事はこれからどんどん増えて行く。他方、財政事情というのは依然厳しいわけで、そうした中、従来型の行財政改革の手法ではなかなか上手くいかない。ということで、ITを活用して行政を効率化しながら住民本位の経営改革を進めるという方向性しかないのではないかということで、私はこれを電子自治体の秘策構築の全ての根本であると考えています。

その中で、「統合型GIS」の位置付けを考えてみると、元々GISというのは行政の効率化、合理化のためのツールという発想からスタートしておりますけれども、最近ではインターネット上に公開して、住民の方々に積極的に地図情報を提供していく、あるいは地図付きの電子会議室というような形で、行政に対する市民の参加(e-デモクラシー)のツールとして活用していくというような、いろいろな方向での利用価値が模索されつつあるというように感じております。

いわゆる地域のIT化や電子自治体の構築に関連した先進事例として、統合型GISへの取り組みというものが注目を集める機会が、最近特に増えて来ています。その意味では、「地域間競争の時代」といわれているわけですが、新しい地域間競争のターゲットとして、この統合型GISへの取り組みが非常に面白い存在になってきたのかなというように我々も認識をしているところです。


GISの定義

 次にGISの定義ということで、この辺は専門家の方には釈迦に説法という話になるわけですが、おさらいという意味でお聞き頂きたいと思います。地理情報システムというのは、地理的位置を手がかりに位置に関する情報を持った電子データを総合的に管理し、これを視覚的に表示することによって、いろいろな高度な分析や迅速な判断に活用していこうというのが基本的な考え方ではないかと考えております。

 次に統合型というところがミソなわけです。単にGISということではなく、私ども総務省の立場としまして、ぜひ地方公共団体の方々に導入活用をお願いしたいと考えているのは、統合型のGISでございます。この統合型GISというのは、地方公共団体がいろいろ保有し利用されている地図データのうち、これまでは複数の部局がそれぞれ個別に利用していたものを各部局が供用できるような形で共通の基盤として整備をして頂く、あるいは利用して頂くための庁内横断的なシステムということで定義できようかと考えています。

 この統合型GISのメリットにつきましては、まず「業務の効率化」としてコストの削減が計れます。庁内的には新たな地図利用業務の展開が計られるのと合わせて、対外的には一般の住民に対して行政情報の提供を行うにあたり、非常に視覚的で分かりやすいインターフェイスが実現できます。そして、これから行政手続きのオンライン化が本格化してまいりますが、電子申請等の際の添付資料としての活用が大いに期待されています。

 他方、統合型GISの導入をスムーズに図っていくための諸条件が必要になって来ます。まず、庁内的な情報化の基盤ということで、庁内LANの整備構築や職員一人一台パソコンの整備といったことが全般的な情報化の共通基盤整備としてなければならないわけです。それから、トップの組長や部局の責任者の方々の理解とリーダーシップがないと中々難しいのではないかと思います。あるいはトップのリーダーシップということにも関連致しますが、庁内の体制作りということで、できれば統合型GISを管理する部署というのも必要ではないか。また地形データを管理する部署、そして地図情報をいろいろ活用する部署がそれぞれ参加する庁内横断的な組織の設置も望ましいと考えているところです。


総務省における統合型GISの取組み

 総務省における統合型GISの導入に向けた検討

 次に、やや歴史的な経緯の話になりますが、最初にGISということを言い始めたのは平成7年度のことでした。当時の自治省の研究会におきまして、初めて「全庁利用型GISの導入」という表現で、現在に至る統合型GISの普及という歴史が始まったわけです。それから平成9年度以降ずっとこのテーマで調査研究を継続して実施して来ているというところです。平成13年度には、「GISモデル地区実証実験」を総務省で行いました。全国で20の地方公共団体のご協力を頂きまして、統合型GISの導入後におけるデータの運用ルールの検討や更新手法、行政分野におけるいろいろな活用の方策、更には広域的整備を行うに当たっての都道府県の役割・機能といった諸点について掘り下げた調査研究を行って貴重な成果を頂いたところであります。


 統合型GIS導入、運用・更新による効果の試算結果

 次に、GISを「個別に導入した場合」と「統合型GISという形で導入した場合」でどう違うのか、コストで比較して見ました。まず、データの整備に要するコストで比較を行った結果、35.5%の削減が可能であり、更新段階のコストでは51.0%の削減が可能であるという結果が得られました。


 統合型GISの普及に向けたロードマップ

平成13年度(712日)には、「全体指針」と「整備指針」、更に「基本仕様書」を策定致しました。これは全国の地方公共団体に提示させて頂いております。

今年度(917日)には、この「全体指針」と「整備指針」を受けて、「統合型地理情報システムに関する運用指針」と、「統合型地理情報システムに関する活用指針」ということで、新たに二つのドキュメントを策定致しました。まず、「運用指針」ですが、統合型GISの実際の運用と更新、そして効果算定の方法等について提示しています。「活用指針」につきましても、統合型GISの今後の活用の可能性ということで、活用・応用が期待されるいろいろな分野がありますが、それぞれの分野について「活用イメージ」と実際に活用された場合の効果の定性的・定量的な事柄について提示させて頂きました。

実は平成14年度におきましても調査研究委員会を開催しております。これは市町村合併が今大きな課題なのですが、統合型GISは市町村合併とも非常に関わりが深いんですよということで、その辺の調査研究をテーマとして取り上げたいということと、2003年度は電子政府・電子自治体の構築の一つの目標ということでe-Japan重点計画が掲げられていますが、来年度以降、本格化します行政手続きのオンライン化に備えて、電子申請届出の添付書類としての活用の方策についても具体的に検討しようということであります。それから、統合型GISの導入はまだまだ進んでおりませんので、未導入団体の方々に対してマニュアルというものが必要だろうということで、そういったことも今年度は取り組んで行きたいと考えています。

 

 統合型GIS導入に関する財政支援措置

 地方公共団体における統合型GISの導入を後押しするということで、国から財政支援措置というものが出来ております。都道府県、政令指定都市については事業費24千万円、その他の市区町村については事業費12千万円を限度として、それぞれデータ整備の5割に各々財政力に応じた補正をかけた額ということで、特別交付税による支援を講じています。

 

 GISの整備状況

 次に、GISの実際の整備状況はどうなっているかということですが、実は自治行政局の方で「情報管理概要」という地方公共団体のいろいろな情報化の取組みを取りまとめて毎年一回出しております。41日時点で調査したものなのですが、その中でGISに関する部分がありますので、抜粋してご紹介したいと思います。

 まず、「個別型GISへの取組み状況」ですが、都道府県では整備済みが40団体、データ・システムとも整備中が3団体ということです。実は昨年に比べて整備済みの団体が1団体増えたというだけなのです。市町村のレベルでは、整備中を含めても全体の32.3%でした。これも昨年が27.2%ですから、まだ5%しか増えていないという状況です。ということで、統合型という前に個別のGISでもまだまだ整備が進んでいないというのが実情なのかなと思います。実は残念というか恐ろしい数字として、今だ6割近い市町村で検討すら行われていないというのが現状であります。

そこで都道府県・市町村における個別型GISの主な利用業務なのですが、都道府県では環境業務と農林業務がそれぞれ28団体ということで最も利用されています。それに次ぐのが消防防災業務で16団体です。市町村では固定資産税業務に利用しているというのが476団体で圧倒的に多くて、次に農林業務、下水道業務となっています。

それから開発経費ですが、平成14年度に最も多額の開発経費を計上したのはどの分野であるかという問いに対して、都道府県においては上水道業務、市町村においては固定資産税業務という結果が出ております。

次に、「統合型GISへの取組み状況」ですが、個別型GISですらまだまだという状況であり、統合型GISについては更に極一部の団体に留まっているというのが実際のところです。都道府県では整備済みが5団体、整備中が3団体なのですが、これも昨年に比べて整備済みが2団体増えただけで、これはその前に整備中だった団体が整備済みに移行したということで、非常に寂しい状況であります。市町村についても、整備中を含めても全体の僅か6.4%という状況で、これも昨年の5.2%に比べて殆ど進展していないということで、理由がよく分からないのですが、ひょっとすると、あまり電子自治体の構築を急げというものですからそちらの方で手いっぱいで、とてもGISどころではないという話になって来ているのかどうか、その辺の状況もお聞きしたいなと思っているところです。必要であれば支援措置の拡充ということも含めて、積極的な後押しということも考えて行かなくてはいけない時期に来ているのかなと思っているところです。その意味では、地方公共団体における統合型GISの整備というのは、まだまだこれからだというのが現実でございまして、導入活用というのが始まったばかりなのかなと。

ところがこの後、事例をいくつかご紹介したいと思うのですけれども、確かに相対的に見ると非常に足踏みしているなという状況なのですが、ただ、数年前には無かったような先進事例というのがボコボコ出てきて、非常に素晴らしい活用をされているというのが目立った傾向になっております。実際にGISあるいは統合型GISを有効に活用して、いろいろな行政の効率化や市民サービスの向上に成功されて話題になっているというところが多数出ておりまして、その意味では先行しているところと遅れているところの格差が非常に広がって来ている。質的な格差が広がって来ているということなのかなというようにも見ているところであります。

では、「統合型GISを導入してどのような効果が得られるのか」という質問に対しては、大体予想していた通りの回答が返って来ているわけですが、「情報の共有化によって業務の効率化、高度化が計れる」というのが圧倒的に多いです。これは都道府県でも市町村でも第一位です。次に、「統合型GISの整備過程における問題点」ということに対しては、「財源がない」というのは元も子もないのですけれども、それはそれとして、もう一つ「業務ごとの要求データの違い」とか、まだ普及していないということに伴っていろいろノウハウが欠如しているということなのかなと思っています。こちらの方はいろいろな調査研究会等を通じて、今後マニュアルを作っていくとか、更にお手伝いが出来るようなドキュメントの整備を進めて行きたいと思っているところです。

それからGISの担当部署についての質問です。これは殆どのところが導入されていないわけですから、「もし導入するとしたら、どのような体制を組まれますか」ということを含めてですが、都道府県では「業務を所管する部署がそれぞれに個別のシステムを整備する」という回答と「情報管理の担当部署が庁内共通のシステムとして整備する」という回答が全く同数です。市町村は少し違いまして、「情報管理の担当部署が庁内共通のシステムとして整備する」という方が502団体で、「業務を所管する部署がそれぞれに個別のシステムを整備する」の354団体よりも、やや多くなっていました。導入を検討されているわけですが、まず個別GISからと考えているところもあれば、その先の統合型GISまで睨んで考えていこうとするところと、いろいろあるのかなと思っております。

次に、「電子化されている台帳」ということで、これはGIS以外の情報システムを含めたものですが、地方公共団体が保有しているいろいろな台帳の中で電子化されているものについての調査です。都道府県では「公有財産台帳」の電子化が比較的進んでいます。しかしまだ5団体です。市町村では「固定資産台帳」と「住民基本台帳」の電子化が先行しています。

それから共用空間データベースの構築に必要とされる「事物の整備状況」につきましては、都道府県では「軌道」と「河川」が7団体、市町村については「筆界」が173団体ということで一番多くなっています。

 

 GIS導入団体活用事例の紹介

 浦安市の事例

 いろいろな事例が最近たくさん出て来ていますので、その一端を皆様にも触れて頂きたいということで、それぞれの担当からご協力を得てスライドを借りて来ました。

始めに浦安の事例ですが、平成13年度に総務省が浦安で「電灯管理に関するGIS」の活用実験をやりました。いわゆる電灯切れの通報です。市民の方々から通報して頂くわけですが、なかなか電話で通報して頂いても分からないということがあり、GISの地図上に直接マーキングしてもらおうじゃないかということでやって見たわけです。結果は当然のことながら、電話よりも遥かに確実かつ迅速に場所がわかるようになりました。

また、e-まっぷ・ひろば(地図付き電子会議室)http://www.city.urayasu.chiba.jp/toshimasu/mapindex/mapindex.html は今年2月に総務省で統合型GISの実証実験をした時に使わせて頂いたシステムです。一言でいえば、インターネット上で地図を見ながら市民の方々がお互いに話し合いをするというシステムです。地図上に行政、市民、企業、学校などがそれぞれ持っている情報を書き込んで、お互いにそれを紹介し合ったり利用したり議論してコミュニケーションの輪を広げて行こうじゃないかということです。この場合、地図が一つのプラットホームになっているという考え方です。この実験では、「都市計画マスタープラン」の素案を題材にしていろいろなテーマの意見交換をして頂きました。例えば、「身近な生活環境」といった議論の参考にしていく基礎情報も入っていますし、参加者がいろいろな意見を書き込みやすいように、地域や場所に関連するような図や写真などの基礎的情報も提供しています。また、討論をして頂くわけですから、コーディネーターのことをファシリテーターと言いますが、そうした人もお願いして、非常に良い雰囲気で活発に意見交換ができるように環境整備もしています。この実験をして、いろいろな問題点(システムの使い勝手、データの通信速度、セキュリティー、マナーなど)も浮かび上がって来ました。いずれにしましても、この実験の総括をすると、市民同士あるいは行政と市民の対話が非常に進んだということであります。そして、この実験をして分かったことですが、地図を見ながら話しをすると場所や周りの風景が具体的にイメージされますので、地図がない場合に比べて具体的かつ掘り下げた臨場感のある会話がはずむということが分かりました。また、どこの市役所にも市長に直接意見できるホームページがあると思いますが、大体そこで上がってくる意見は苦情であったということです。ところが地図を参照しながら意見を出すという仕組みにしたところ、苦情ももちろん多いのですが、一緒に解決策をご提案いただけるようになったということで、市民の中にそういう前向きな姿勢が芽生えてきたということもメリットとして言われております。

浦安市のGISに対する取組みの基本方針ですが、もともと浦安市では市民と行政が協働する町づくりということで情報公開が一歩進んでいて、市民と対話するという大きな流れになっているわけですけれども、その有効なコミュニケーションのツールとして地図付き電子会議室を使っているということです。このe-まっぷとWeb-GISを組み合わせて、双方向型のインターネットGISe-まっぷシステムを現在構築中であります。

その基本的な方向性が三つあります。まず、「庁内」から「地域」へ。「情報提供」から「サービス提供」へ。そして、「効果」から「公益」へ。これは私が思うに、浦安市だけではなく、地方公共団体における市民参画的なGISの活用という意味では、非常に共通する面があると思いますので、ご紹介させて頂いております。例えばこの「庁内」から「地域」へということですが、共用空間データベースを地域に還元しますということで、要するに「庁内」だけの利用に留めず、地域や住民に対して情報発信する上での情報基盤として有功であるということです。次に、「情報提供」から「サービス提供」へというのはどういうことかと言いますと、行政の側からの行政情報の提供というのはどこの自治体でも行っていますが、単に情報を提供するためのシステムではなく、「機能」を提供しようということです。要するに、プラットホームを作って「機能」を提供して、住民自らが参加して情報発信したり、いろいろな議論をして頂く。また、マイ・マップというのがありますが、住民がいろいろな地図を作成するための支援機能を付けるとか、こういった方向に行くのだろうという一つのモデルであると思います。そして、「効果」から「公益」へというのは、見るだけのページから使えるページへということで、先程の話と同じかと思います。

最後に浦安市の統合型GISが目指すものというのは、地域と行政のプラットホームとして相互利用できるようにしようということです。

 

 豊中市の事例

 次に、豊中市の事例です。「とよなか わがまち」http://web02.city.toyonaka.osaka.jp/gis/info.aspというサービスがありまして、平成1212月から運用を始めております。今年611日からはiモードからの利用も可能となっております。

 

 西宮市の事例

 西宮市では、「道知る兵衛」http://kusunoki.nishi.or.jp/index.phpが大変有名なシステムです。地図情報システム(GIS)とデジタルマッピング(DMデータ)を活用して、西宮市が独自に開発したものです。Web上の地図案内サービスとして自治体が独自に開発した事例としては、日本の中では多分、最初の試みだったのではないかと西宮市では言っています。西宮市では平成7年に起こった阪神淡路大震災等がきっかけになって、こうしたものの必要性を他の地域に比べて早く認識し、当時からパソコン通信やFAXで画像情報の配信をしていたということです。それがインターネットの時代に、こういう形で結実したということでした。細かい中身の説明は省略しますが、基本コンセプトとしては「見て知って使いたい」というニーズに応えられるようになっています。

 

 三重県の事例

 次に、三重県の事例ですが、今年817日から始まりました非常に最近の話です。県と市町村と民間企業を含めて、官民双方が保有するデータを総合的に活用していることに一つの特長があります。もう一つは、エリアが県域ということで、かなり広域のGISになっていて、この二つの意味で全国でも非常に珍しいのではないかと思います。もともと県として、行政効率化のために庁内での利用を目的として開発したものをインターネット上に載せたということです。いろいろな機能が付いていますが、時間の関係で省略したいと思います。

 

 平成14年度における総務省自治行政局の取組み

 まず、政府全体としての取組みも、聞くところによると阪神淡路大震災等が大きな後押しになったと聞いております。平成79月に、政府内に関係22省庁で構成する「GIS関係省庁連絡会議」というものが出来ました。それ以来、省庁横断的な取組みが進められています。平成812月には、「国土空間データ基盤整備及びGIS普及促進に関する長期計画」というものも確定しました。その時初めて、21世紀初頭までにGISの全国的な普及と国土空間データ基盤の一通りの整備を完了させるということを、政府全体として一つの目標として決めたことが出発点になっています。それ以降、「e-Japan戦略」とか「e-Japan重点計画」という流れが出て来て、それを受けて今年2月に「GISアクション・プログラム2002から2005」というのが改めて最新の政府計画の改訂版ということで策定されました。その中で、我々特に商務省自治行政局としましては、地方公共団体と関連が一番深いと思われる「統合型GIS」を推奨しているわけですが、これもアクション・プログラムの中に位置づけされています。

 現在の取組みとしては、平成14年度に「広域的な行政課題への統合型GISの活用の検討」ということで、一つは市町村合併に関する検討をやりたいと考えています。市町村合併が行われると、「学校区の見直し」「都市計画の見直し」や「公共施設の再配置」等多様な行政分野に渡って、実際に地図情報が必須になって来ます。これを機会にGISの導入の気運を盛り上げさせて頂きたいなと思っています。ということで、市町村合併を想定した上での「統合型GIS」のあり方、活用方策、問題点等々について早急に研究したいと思っています。もう一つは電子自治体の構築との関係になります。「広域活動に関する検討」とありますが、中身は電子申請・届出を行う場合に、地図の添付が必要とされる手続きというのは沢山あるわけですが、統合型GISを活用した「添付図面の添付手法等」について、あるいはネットワークを活用ことになりますので、「ネットワーク側の問題」を含めて検証するということです。また、「未導入団体への支援」ということで、財政措置や、いろいろな指針というものを作り、基本仕様書というものまで作ってお示ししておりますが、なかなか進まないということで、マニュアルの作成も検討しています。

 

 情報セキュリティ対策について

 セキュリティポリシーと個人情報保護条例を出来るだけ早く作って下さいということをいろいろお願いしているのですが、セキュリティポリシーは21.0%の団体しかお作りになっていませんし、保護条例も65.4%ということで、本来どちらも早く100%にして頂かないと困るなと思っているところです。このセキュリティの話は持ち時間が終わりましたので、機会を改めてお話したいと思います。

 

 まとめ

 GISの話から離れるかも知れませんが、最後にまとめとして少しお話ししたいと思います。地方分権というのはアイデア競争の時代だと思っているわけですが、確かに「地方分権一括法」が出来て、まだそれ程時間も経っていませんし、地方分権の真価が発揮されるのはこれからだと思われますが、いわゆる地域間競争、住民や企業側が自治体を選別する時代に突入したというのは間違いありません。その中でITというものが、地域間競争に勝つための非常に有効なツールとして広く認識されて来たことは間違いありません。例えば毎年、日経新聞が「行政サービス評価」と「行政改革評価」ということで自治体ランキングを出していますが、大体上位に来るところの顔ぶれを見ると、殆どがいわゆるITの導入活用でも先進自治体というところばかりです。これは驚くべき一致です。アメリカでも州、郡、市といったところを対象とした「電子自治体進捗度総合評価ランキング」を毎年出すのですが、この順位の移動は思いのほか大きくて驚かされます。国別のランキングでも「ITが進んでいる国」として上位10程挙げた表が出てきますが、G8といわれるような先進工業国はそこからポロポロ漏れていて、北欧や韓国、シンガポール、香港といったところが上位に来ている。その意味では、ITというのは元々参入障壁が低い分野である。逆に言うとアイデアと実行力、実行力というのは決断の早さと行動のスピードですが、そういうものがあれば、個人やどんな団体であっても一気にランキングを飛び抜けて上がることが出来るという、非常に面白い分野であるということが証明されているのではないかと思います。要は、どれだけきちんとしたビジョンやポリシーがあって、ターゲットを戦略的に絞り込んで、しかも正しい手順でやっているかということかと思います。そのためにはトップのリーダーシップでトップダウンしていくことが非常に重要だと思います。

そういうことで、地方分権というのは正にアイデア勝負の時代であり、GISについても今、先進団体がたくさん出て来ています。我々としてはそういうものを、どんどん推奨して広く紹介することによって、良い意味で地域間競争を刺激して行きたいなと思っているところです。これからどんどんITのモデル自治体を廻る地域間競争が活発になることによって、意識改革も進みますし、人材の育成も加速することになると思います。地方分権というのは、ある意味では自立しろということですから、県や国に頼ることも出来ないということで厳しい面もありますが、いろいろなノウハウというのは実体験を通じてしか得られないものが多いということですから、是非進んでいる自治体を見て参考にして頂きたいと思います。ご清聴ありがとうございました。