
御紹介に預かりました和田でございます。今日は道の方が出席されていないということなので、少し道の動向から説明していきたいと思います。最初にこの計画を北海道の中堅企業の経営者の方が発表した時に、道は「そんな採算計画のないものにコメントできない」と言われたのです。その次に何を言ったかと言いますと「千歳と羽田を半額にすると、既存の航空会社は道内の主要な空港から撤退するだろう」。それで最近になって言っているのは「理解はする。しかし、このドル箱路線に出資はしない」と、このように言っていることが転々としています。
それでは道がこうした問題について今まで、どういう対応をしてきたのかということを例に出していきたいと思います。賛否両論あると思いますけれども、北海道が抱えている問題で、道が非常に関心を持っている新幹線の問題で、今だかつて東京〜札幌間の運賃がいくらになるのか発表されたことも、採算計画が載ったこともありません。ということは、道民に採算計画も知らせないで、とにかく新幹線を進めようとしている。
二つ目に、地方空港からの撤退が起きると言っていますが、それでは新幹線についてはどうなのかと言えば、これは規制促進委員会と言われる方達が会議をして、新幹線ができると空港の約半分が新幹線に転換する。そうすると既存の航空会社は直ちに地方空港から撤退すると言っています。同じ理屈ではないかと思うのですけれど。
三つ目は、少し論調が変わりまして「そんなドル箱路線で、必ず儲かるような路線に参入するところに道がわざわざ出資できるか」と言うのです。役所の立場として非常にわかるのですが、絶えず民間がやることに対して否定的である。ただし、事業が成功するかどうかという現代の一つの基準は、役所が反対することは、だいたい成功するということをまず念頭に置いた方が良いのではないかと言うことです。それからマスコミの方の対応を説明すると、NHKや民放で放映されているのを見ますと、我々は運賃の半額化ということを提唱したわけです。テレビ局の説明が非常に間違っているのは、運賃の半額化というのは、コストの半額化と連動していないということです。これはどういうことかと言いますと、コストが半分にならなくても運賃は半額にできるということなのです。例えば座席利用率の全国平均は、だいたい60%位です。これを例えば80%にすると、自動的に運賃を20%下げても収入としては同じということになります。
それから、よく皆さん間違えられているのは「一人当たりの租税公課がこんなになりますよ」という説明をされます。「だから他にコストを節約できる部分がないので、とても運賃半額なんて無理ですよ」と。これは例えば高速道路に乗るときに、一代の車に一人で乗った場合、租税公課が一人に全部かかります。しかし三人で乗った場合は3分の1になる。つまり租税公課というのは、固定費ではなく変動費なのです。その点の誤解が非常に多くて、皆、今の既存の航空会社のかかるコストを半分にしなければいけないと言っていますが、それはとてもできません。運賃を下げるということは、コストを下げることによって運賃が下がり、更に座席の利用率をあげることによって運賃を下げることが可能です。その数字の50%は、何とか今までのさまざまな試算をやってみる限り可能性は高いということなのです。少なくとも今までしたシュミレーションの中で「もう絶対無理だ」という結論は一切出てきていません。
それでは次に、運賃が半分になったら一体どんな影響があるのか。北海道の経済を活性化させるという話しがよく出てきますけれど、その前に、我々が価格を半額にしてマーケットに出したとした場合、既存の航空会社がどういうマーケティング戦略をとるかということをシュミレーションしてみたいと思います。やり方は二つあると思います。一つは、この分けのわからない航空会社を何とかやっつけたいということで、運賃を下げるということをすると思います。それで運賃を羽田と東京にだけ限って下げられるかというと非常に難しいと思います。というのは、既に既存の航空会社は日本中に路線を持っていますから、一路線だけを取り上げてそんなことをすれば、いろんなところで矛盾が出てきます。
そうすると今度はどういうやり方があるかというと、表向きは現在の価格のままで、後は旅行代理店を使って徹底的に値段を下げるというやり方です。ところがこれも我々が2分の1で出していた場合です。既にマーケットの価格戦略で、半分の値段を出して対抗しようとする以上は、旅行代理店を通すのは非常に大変なのです。そうすると当然今もらっているマージンより、より多く頂こうとすると思います。そうすると果たして、既存の航空会社がいくら頑張っても半額になるかどうかということなのです。そうすると価格戦略で、この分けのわからない航空会社を潰すということは非常に難しいと思います。では既存の航空会社が打つ手がないのかというと、私は全く違うと思います。
どういう手を打つかというと、千歳と東京以外の客を、全国に持っている路線網を通じて、そこからの客を乗せるという戦略をとると思います。これは何かと言いますと、千歳のハブ化そのものを意味します。どうして今まで千歳のハブ化が実現しなかったかと言うと、その背景には運賃の規制があったからなのです。北海道は欧米大陸に近いから燃料費は一時間分節約できるという唱い文句になっているのですが、そういう良い条件がちっとも活用されない背景なのです。簡単に計算して、アメリカから日本に来るのに7万円払って、更に東京から札幌へ来るのに5万円払うといったら、これはもうどうしようもない話しなのです。ところが今のように価格の規制が撤廃されると、必然的に千歳のハブ化が起きるのではないかという推定が可能ではないかと思います。これは世界で起きている現象です。価格規制を撤廃した時に、アメリカでもハブ化が起きました。要するに規制緩和とハブ化というのはコインの裏表なのです。マーケットの競争原理に任せない限り、ハブ化というのは非常に難しい。従って価格規制を撤廃する動きが新規産業にあるというのは、千歳のハブ化にとって非常に大きな弾みになるのではないでしょうか。
道の関係を今のハブ化の問題に併せて言いますと、北海道の空港の政策としては「新千歳を国内のハブ空港に、丘珠を道内のハブ空港に」ということだそうです。これは全く時代に逆行する政策です。というのは皆さん東京に行かれた時にわかると思いますが、成田と羽田があって、札幌の人が国際線に乗ろうと思ったら、いったん成田に行って、そこから車や電車で羽田まで行かなくてはならない。今、道は同じことをしようとしているのです。千歳がガラ空きであるのに、東京と同じ政策をしようとしているのは私にはどう考えても納得できないのです。
それから、今までの話しの流れの中で、特に私どもが言いたいと思っていることは、今、首都圏に第3航空を造るか造らないかということが議論されております。それはアメリカで言えば、ニューヨークの海の上にもう一つ空港を造るか造らないかという話しと非常に良く似ています。しかしアメリカはニューヨークではなく、アトランタやダラスのように地価が安く、人が比較的少ない所に馬鹿でかい空港を造り、お客を集めるために、とにかく運賃を徹底的に安くするという政策でやったわけです。そうすると空港自体も非常に安く出来上がる。ところが今、規制緩和を推進する人の中にも、あるいは規制を擁護する人も全く同意見なのですが、地元の受容の多い所でなければハブ空港は生まれないという考え方です。しかし、もっとわかりやすい例で言えば、街の中に立派なデパートがありますが、ここでなければビジネスは成功しないよと言っていることと同じなのです。ところが現実には、郊外に大きなスーパーがどんどん出来て、そちらの方が景気が良いというのです。人々は多少時間がかかっても、安くて大量の種類の商品がある方を選択するということに尽きるのです。ところが今まで空港については、どうして同じ経済原理が働かなかったかというと、そこに行くアクセスのコストが高かったからなのです。これをどれだけ下げるかということが、千歳がハブ空港になる非常に大きな条件の一つであるということを皆さんにご理解頂きたいのです。
そうすると首都圏に1兆6千億をかけて、滑走路一本に航空税金を使うか、それとも北海道の安い運賃を実現できる航空会社を支援するか、どっちが日本全体から見て現実的なのかということです。1兆6千億といったらジャンボ一機が120億しますから何機買えますか。それをタダみたいな料金で千歳に持ってくればお客は爆発的に増えます。首都圏のお客は、成田に車や電車やバスで行くのに、だいたい4〜5千円かかるのです。この4〜5千円で千歳まで来て、そこから国際線で行くと、運行距離が短くなりますから当然飛行機に乗っている時間は、その分査定できるわけです。そうすると遥かに便利な空港が千歳に存在するんだということで、これを資源として活用すれば、北海道のためにも日本全体のためにもなるのではないかということを、この航空会社の設立を通じて訴えたいのです。
それでは結論から申しまして、果たしてこの分けのわからない北海道国際航空が本当に飛び立つのかという問題があります。今のところ、社長を誰にしようかというのが最大の関心で、社長が決まれば私は一気に進むと思います。まず運輸省の関係は非常に良いのです。それから整備の依託ということですが、既存の航空会社は決して心から歓迎するというのではないけれども「まあ、時の流れだ。こんなのが出来ても仕方ないかな」というくらいの感覚で、非常に好意的に交渉させて頂いております。ですから後は人が決まることです。それが、これからしなくてはならない非常に重要なことだと思います。
それから応援団ですが、北海道知事も年末に、道の幹部職員に対する挨拶の中で「北海道で唯一明るい話題は、この航空会社が誕生したことだ」と言ったそうですし、かなり最近は積極的に対応して頂いていると聞いております。従って、とにかくこれからやらなければいけないことは、本当に安全を配慮した事業計画をきちんと作ることです。
簡単に会社の概要をお話しますと、だいたい一日12便飛ばしたいと思っています。これはC滑走路が今年の4月位からできまして、99年には新B滑走路ができます。そこでは更に18便と考えていますから、一日30往復したい。これがそのまま認められるかわかりませんけれども、とにかく本当の意味で千歳がハブ化できるくらいの便数を飛ばしたいということです。我々の計画としては、来年の春4月に第一便の出航を計画しております。そういった中で、基本的に北海道の皆さんの協力を得ながらやっていきたいと思いますので、ぜひ御協力をお願いしたいと思います。