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1・What is PFI(PFIとは) 英国におけるPFIの基本的な理念は、政府の行っているいろいろな事業に民間の資金を使うという事にありました。1980年代後半から1990年代前半に、このPFIの考え方が急に浮上したのは、英国内のいろいろなインフラ、例えば交通機関や病院や刑務所等に巨額な資金を投入していましたが、これらに関するお金を短期的に政府が調達することは、当時の財政的な問題から判断して難しかったのです。また、この当時は大規模な民営化が行われた時期でもあります。その中には英国航空、電話会社、電力会社、水関連の産業があります。このような大規模な民営化が進められることに対して、当時の人達に大変受け入れやすい考え方が定着しました。いったん考え方が受け入れられると、民間の資金を公共事業に投入するという事がどんどん進められて行きました。PFIを進めたのは保守党ですが、1997年5月1日に総選挙が行われて、今度はブレアを中心とする労働党内閣ができました。同じPFIであっても労働党内閣は新しい理念を持っていて、今までとは大変異なる政策を打ち出しました。その時に中心になったのはマルコム・ベイツという企業の経営者で大学の教授でもありますが、PFIのあらゆる物を見直して29の提言を行ったのですが、それを当時の労働党が全て受け入れたのです。この基本的な理念は、1997年7月に労働党内閣が公式に表明しました。その中身は、効果のある公共部門と民間部門のパートナーシップが重要であり、それが納税者にとって税金を支払うに値する事業・計画だということです。それで労働党内閣が言ったのは、「コストの削減というのは公的な部門だけではなくて、民間と公共の両方の部門がトータルでコストを引き下げることを言う」ということで、従来の保守党内閣の時と違って労働党内閣は、「PFIの事業というものが最も適切と思われる部門について推進する」という意志表明をしました。別の言葉で言うと、PFIというのは保守党内閣の時と労働党内閣の時では非常に変化したのです。保守党時代は公共施設を買い取るオーナーであり、それを運営するオペレーターだったわけです。ところが労働党内閣になってからは、どちらかというとサービスを買うサービサーに変化していきました。そうするとPFIに対する民間企業の立場というのが自然と変わってきました。どのように変わったかと言うと、単に公共施設を買い取り、あるいは運営しているというだけではなく、むしろサービスを長期に渡って提供する存在に大きく変わっていったのです。そして、設計や建設やお金を調達する事を組み合わせ、公共部門が要求しているサービスを提供できるようにしていきました。今の一番至近な例としては、病院の建設を行いました。病院というのは、昔はナショナル・ヘルスサービスといって日本の保険制度と良く似たものがあったのですが、そのナショナル・ヘルスサービスが病院を建て運営を行ったのですが、これは全て税金で賄われていたのです。それがPFIのシステムによって、民間企業の場合は自分のお金で病院を建設し、運営を行い、人を雇い、中の管理をするのです。そしてヘルスサービスとの間に病院を建てた会社は契約を行い、その契約に基づいて料金が支払われるという形です。その契約の中に、どういう基準の医療サービスを行うかや、どういう効率的なサービスを行うかという事が詠われていて、その基準に満たない場合は支払が減額されたりすることが起きます。 2・Present Day PFI(今日のPFI) 今日、PFIの基準というのは3つに集約できます。1つは「Value For Money」(国の予算を市民のために最大限有効に活用する原則)で、要するに払うお金に見合う価値があるかどうかということです。2つ目は、事業ですからリスクがあります。そのリスクを公共部門と民間部門とが一定の責任の元に、誰がどのように担えば最少化できるかということです。3つ目は、当然この2つの結果として、健全で効率的な経営ができるかということです。この3つが英国におけるPFIの基本的な基準になっています。従ってPFIというのは、昔と違って単に民間の資金を公共部門に投入するという形ではないのです。その結果、PFIを行う地方の官庁や公団、地方自治体という所は、結局この3つの条件が民間企業を使うことによって十分に満たされるかどうかということが非常に重要な点になって来ます。従ってPFIが強調される意味は、公共部門に対して売られたサービスに移って行きました。従来は公共部門の施設そのものを買うことにあったのですが、サービスの提供ということで、従来のハードからソフトの部門への転換が行われているのです。従って、公共部門というのは民間の企業から提供を受けたサービスを買い取るということに段々と特化していっているということです。それでは英国において誰が主体になってPFIのプロジェクトを行うのかという問題が出てきます。そこで、これから述べる組織の話しに移ります。 3・Treasury Task Force このPFIを推進あるいは効用する組織としては、「Treasury Task Force」という組織が大蔵省の中にあります。そして、もう一つは一つの考え方としてですが、「Public Private Partnerships Programme」が提示されていて、これは一つの団体にもなっています。PFIの見直しを行ったマルコム・ベイツさんが勧告した一つに、大蔵省の中にプロジェクト全体を見直す機関の設置を要求したのがあります。「Treasury Task Force」は、民間部門と公共部門とを橋渡しする役割を担っています。この両部門が率直に持続して会話ができるように「Treasury Task Force」はできたのです。もう少し具体的に「Treasury Task Force」が行っている事をお話しすると、約50のプロジェクトについて、次に述べる理由の4つの内の1つにでも該当するかどうかを判断の基準にしています。一つは、プロジェクトの大きさ。それからプロジェクトの性格。それからプロジェクトを行った場合、次に続けて同じようなプロジェクトが行えるかどうかという類似性。そして、まったく新しい形のプロジェクトができるかどうか。この4つの点から評価を下すということを行っています。そして、「Treasury Task Force」というのは、今の50のプロジェクトについて非常に厳密に見て検討を加え、できればPFIのプロジェクトと言われているもの全体について、共通に適用できる詳細な規則作りを確立したいという意図があります。その標準化がどういうものであるかと言うと、例えば入札をする場合の標準約款を作成したりできないかということが問題になっています。しかし、だからと言って絶対にこの標準化された約款を使わなければいけないと言っているのではなく、むしろそのプロジェクトに相応しい契約書を作るに当って、どのくらい標準約款から離れているかということを立証し、やりやすくすることが重要だということを強調しているのです。この「Treasury Task Force」の非常にめざましい発展というのは、手続きについて言えます。それは、許認可についての手続きを非常に明確化したことにあります。この許認可の課程というのは、政府の各部門によって提唱された様々な計画について、採算上の妥当性があるのかどうかを確認することにあります。プロジェクトが認可される基準は、当然のことですが一つは採算性です。次に、資産としてどうかというよりは、成果がどうかという問題です。3つ目は、リスクをどのように官と民との間で分配すれば、全体のリスクが引き下げられるかということです。その次に、民間企業が行った場合に、資金調達の容易性です。次は、契約の形態です。最後に、適切な比較できるもの。例えば民間が全部やり切った場合に、どういう結果になるか。逆に完全に公共部門がやった場合にどういう結果になるかという、何らかの比較するものを使うということです。中央の政府はPFIと盛んに言っているのですけれど、イギリスでも地方自治体になるとなかなかPFIの考え方が理解されませんでした。そこで「Treasury Task Force」は独自に書類を作り、PFIに関する具体的な事例や、どのようにすればPFI事業が成功するのかということまで行いました。 4・Public Private Partnerships Programme(公共と民間の共同事業) それから先程お話しました「Treasury Task Force」以外に「Public Private Partnerships Programme」の存在があります。これは通常4つのPと言われています。この4つのPは、地方自治体がPFIに関連して行ったものです。その中で最も成功した例と言われているのが学校の建設。そしてハローの地域の納税システムを作って行ったこと。それからワイフ島の産廃の工事、ロンドンの社会保険関係、警察署、ウイルシャーの警察が使うヘリコプターを民間会社に買ってもらい、そこからリースすること。そして高齢者の老人ホーム。これらが地方自治体が行った成功例として上げられています。地方自治体が行ったPFIで10億円未満のプロジェクトが約14。それから10億円以上21億円未満のプロジェクトが7つ。21億円以上54億円くらいのプロジェクトが6つ。54億円以上107億円くらいの範囲に入るものが約9つ。107億円以上というプロジェクトが1つあります。今言ったプロジェクトは全て修了した工事です。現在も地方自治体がPFIでどんどん行っているプロジェクトがあり、その数字は増えています。但し、ただPPPのプロジェクトでどんどんやるというだけではなく、一種のフィルターの効果を果たしていて、良いか悪いかの評価を地方自治体に提供しています。 5・Difference in Outlook(文化の違い) PFIを行うに当たり、最も難しいのは文化の衝突です。要するに、従来の公共部門と民間部門がやるということが、一種の文化の衝突を引き起こしている場合があります。公共と民間の態度の違いに非常に大きなものがあるからです。ですからお互いの交渉に誤解が生じることが非常にしばしばあります。公共部門というのは、民間部門から効率性や組織の問題について多く学ぶことができるという理解はしているのですが、民間部門が政府と交渉することにどんなに難しい問題があるかについて理解が不足している場合があるということです。特に地方自治体の場合にこの問題が起こります。具体的には、地方自治体が民間企業と契約を行うという能力について、非常に法律的な難しさが含まれています。これは「バイリスの問題」と言われていて、こういった問題を遂行できる能力が問題になります。PFIの初期の段階においての契約相手は大きな建設会社がほとんどでした。そして工事を完了してから利益を得るのです。このような会社の傾向としては、長期に渡る営利には、それ程関心を持たないで、実際の運営は他の下請けに出す傾向が多くありました。そこで、「パシリティー・マネージャー」の役割が飛躍的に拡大するわけです。その「パシリティー・マネージャー」は、長期に渡る公共施設の利益を守る役割をするのです。つまり公共部門と共通の利益を持っているということです。そこで「パシリティー・マネージャー」は結局どうするかというと、建設時期を建設会社に下請けに出します。この現象は、アジアにおける電力会社の民間における工事について同じような傾向が見られます。これは、もしかすると世界的な傾向かも知れません。 6・Public Sector Comparators(公共部門の評価基準) 先程言いましたPFIの条件の一つに、他と比較するということがありましたが、今ここで新しい概念として「Public Sector Comparators」という基準を提供したいと思います。これはPSCと言われ、英国の大蔵省によって作られたものですが、PFIのプロジェクトとして相応しいかどうかという評価をするための一つの基準です。それでは何と何を比較するかという問題ですが、「民間の資本を一切入れず公共部門で完全にやり切った場合、どのようなコスト構造になるか」を示したものが一つです。このPSCの基本的な政策はリスクの分析が中心にあります。パブリック・セクター の本当のコストを探り出すためには、そのプロジェクトが持っているリスクがどんなものであるのかという想定をする必要があるのです。リスクは他に移転できるかどうか、あるいは自分の所で持つかどうかという2つの分けることができます。通常、リスク・マネージメントは民間の方が優れている場合もありますが、一定のリスクについては返って公共部門が担った方がプロジェクト全体のリスクとしては引き下げることが可能です。PFIを行う一つの判断基準としてPSCがあるわけですが、今言ったように公共部門が完全にやり切った場合、あるいは公共部門が一定のリスクを負った場合、それが民間部門にとって優れたものであるかどうかという判断ができるということです。それで結局先程お話した「Value For Money」という問題に行き着くわけです。つまり、公共部門で全部やる方が返って価値があるものと、一部だけ公共部門でやる方が価値があるもの、あるいは民間が全部やる方が価値があるものというように、比較する判断の基準をPSCによって提供できるということです。 7・Procurement Procedure(調達の手続き) そこで問題は「Procurement Procedure」調達の手続きです。PFIでは主に入札の法的な事務手続きを言いますが、時間の関係で省きます。入札の手続きとは、英国国内だけではなくEU全体に適用できる公正なものです。 8・Conclusion(結論) 結論だけお話すると、1982年からPFIのプロジェクトが始まりましたが、何でもかんでも上手く行くというものではないということです。当然のことですが、民間企業というのは収益性が見込まれないプロジェクトはやりません。そして多くの場合、民間はPFIの仕事であろうと銀行からお金を借りて行います。そういう意味ではPFIも全く他のプロジェクトと同じで、銀行がお金を貸すというほどの収益が見込まれていなければ駄目だということです。 そこで、PFIが上手く働かなかった例を一つ上げたいと思います。それはユーロトンネルです。設備としてロンドン側の高速の線路ができていなくて、パリ側はできているという問題があって、ロンドンからトンネルまで行くには高速の電車は走っていませんが、トンネルからパリへ行くには、今年になってから途中までですが高速の電車が走るようになりました。ロンドン側は民間セクターでやっていて、パリ側はSLCLという日本でいう新幹線が走っているのです。これは完全に公共部門が行っています。民営化されたロンドン側はLCRという民間会社が運営しています。この会社がそのために、どのような助成を国から受けたかというと、30億ポンド(6000億円位)の公的資金が投入されたのです。残りは全部民間の資金によって賄われました。しかし、民間セクターでやっても結果が良くないということで、結局今年1月に12億ポンドの更なる助成を政府に求めたのです。拒否されましたが、LCRは更にこの話しを進めたいということになっています。LCRやユーロ側の会社が自分で資金調達できる可能性は殆どないのです。そうするとLCRは、政府との契約に完全に違反していることになるわけです。ですからLCRは政府に契約を破棄される可能性があるということです。契約が破棄されると、誰が責任を取ることになるかと言えば、国がやる可能性があるのです。そうすると政府が経営することになるのかという問題になりますが、私の考えでは他の民間会社がやることになるだろうと思います。しかし、現実にLCRが上手くいかなかったのに、他の民間会社が引受ける可能性は低いでしょう。そうするとどのような結果になるかというと、ロンドン側の線路は2時間半で行けるところが、現状のままでは3時間で終わるのではないかと思います。結論から言えば、このユーロトンネルはPFIの事業としては失敗したと考えても良いでしょう。結局、建設コストが民間でやるにはあまりにも巨大すぎたのです。そこで、どのようにしようとしているかといえば契約の期間を長くし、銀行もその不良債権の半分を資本金に組み入れようとしています。そして結局、その不良債権を銀行が組み入れるために、本来いた投資家がプロジェクトに対する支配権を失うという結果になっています。その結果、2006年までに株主に対する何らかの配当が絶望的だということです。そういうことを通して何が言えるかというと、PFIの性格として、大規模なインフラストラクチャーのプロジェクトに適用するのはかなり難しいということです。過去に成功した例を見ると、学校、病院等の比較的小さなプロジェクトについては成果が見られます。そのことから、PFIの形がどういうものになるかというと、民間部門からサービスを買うという仕組みが出来上がりつつあるということです。 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