北海道地域新生プロジェクトの事業概要


     
                       

背景と考え方

いま、すべての地域が地方分権の流れに身を置き、委譲される権限によって新たな価値を如何に生み出すかという課題に直面している。直接的には、自治の基盤となる税財源の確保が最大のテーマであるが、地方行財政の改革を至上命題とする国家的変革の下では、税制の改正を視野に入れながら、限られた税財源を生かすための自治の根源を自ら固めるしかない。

自治の根源とは、自らの足元をしっかり見つめ、豊かなメッセージを発信することによって、人や情報を呼び、結果として地域にお金を呼び込む生活のスタイル、と考えてみたい。これはビジネスの原理であるが、実は自治の根源を固めるための王道でもある。市町村合併もこの王道をはずして成功はない。

羊蹄山の麓に広がる地域は、豊かな自然と暮らしに誇りを持った人々が北海道らしい産業を育てる場として有名である。7つの町村が観光産業と農業を主産業としている。

私たちはこの羊蹄山麓地域をモデルとして住民にとって魅力ある市町村合併のあり方を提案したいと考えている。

目 的

倶知安、蘭越、ニセコ、京極、喜茂別、真狩、留寿都の7町村を広域的な連携の対象として、観光ビジネス、農業ビジネス、そして環境ビジネスを域内で循環させ、新たな価値の発掘と発展を目指すことを切り口に、統合型GISによる分析手法を用いて、地域経済の起爆剤になる広域連携構想を包括的に描き出す。

研究開発の内容及び方法

研究対象地域として、全国的にアウトドアを中心とした体験型観光地として名高いニセコ・ルスツ地域を選定する。羊蹄山水麓に田園風景を形成する7町村、倶知安・蘭越・ニセコ・京極・喜茂別・真狩・留寿都は先にあげた観光地としての連帯感がすでに育まれているほか、実際7町村で広域ごみ処理を始めることになっている。この地域において、観光・農業を切り口に福祉・住民サービス・各種施設の検討・道路建設などを、GISを用いながら視覚的に検討していくことで、更に観光地としての全体的なイメージアップ・質の向上や、地域全体における生活圏の質・サービスの向上が図られることが想定される。

事 業

  1. 観光を切り口に、福祉、住民サービス、各種施設の検討、道路建設などを、GISを用いながら視覚的に検討する。
  2. 観光地としての全体的なイメージアップ、質の向上を検討する。
  3. 地域全体における生活圏の質やサービスの向上を検討する。
  4. 農業生産の二つの局面、域外販売による地域経済拡大への貢献局面と域内循環による地域文化の向上局面(地産地消)のそれぞれについて付加価値生産性を検討する。
  5. 農業と食品関連産業との連携のあり方(リサイクル関係等)を検討する。
  6. 7町村間での広域ごみ処理の開始を軸に、環境に関連する仕事とそれが資源の域内循環に果たす役割や意味を検討する。
  7. 「1から6までの検討」を踏まえて、地域経済の起爆剤になる広域連携構想を提案する。

本研究に関わるこれまでの研究蓄積

北海道GIS・GPS普及推進研究会の行政支援部会の幹事会社(北海道地図梶A株唄未来開発センター、高陽技研梶A潟qューネス)の協力により、財団法人ニューメディア開発協会より、「One Stop統合型行政GISの開発」の受託を受け、2002年3月その成果を道内212市町村にCD化して担当者に配布した。また、2001年6月から10月にかけて、道内212市町村の情報推進担当者に「道内市町村向けGISに関する意識調査」を行い、212市町村全てから回答を得て、これも前記のCDに取り入れて、市町村の担当者に同じく配布し、更に2002年3月に刊行された北海道産学官研究フォーラム創立10周年記念誌「北海道、新世紀への再生」の巻末に掲載した。

こうした蓄積の上にこの度、北海道大学大学院地球環境科学研究科の山村悦夫教授(北海道産学官研究フォーラム運営委員長)のご指導のもと、酪農学園大学の金子佳弘教授を座長として「北海道地域新生プロジェクト」を立ち上げた。2002年7月より羊蹄山麓に広がる田園風景を形成する倶知安・蘭越・ニセコ・京極・喜茂別・真狩・留寿都の7町村に焦点を当てて、GISを用いた行政サービスの効率化を追及するとともに、市町村合併も視野に入れて、北海道の主に観光の先進地域として位置付けて、この地域を一体のものとして観光、農業など北海道を代表する産業の広域連携の可能性を探る。

更に、北海道内の市町村の今後の広域地域連携形成のモデル地域として調査研究し、今後全国的に本格化するであろう市町村合併に対して、新たな視点(地域の特性を生かしながらGIS技術を用いて、地域全体の産業構造を分析するとともに、これまでの市町村バラバラの観光戦略でなく広域連携できた場合の観光戦略をシミュレーションする)を提示する事によって、行財政改革のあり方に一石を投じたい。


プロジェクトスタッフと研究分担

代表
金子 佳弘(酪農学園大学環境システム学部経営環境学科教授)
北海道産学官研究フォーラム内に設置する「北海道地域新生プロジェクト」の代表として、羊蹄山麓広域圏構想の主に社会科学的な視点からのアプローチを行う。環境調和型の地域活性化プランを立案。


朝日  守(北海道地図兜寰ミ長
北海道GIS・GPS普及推進研究会の行政支援部会長として、行政支援システムとしてのGISを用いて、羊蹄山水麓に位置する7町村の地理的特性、GISを用いた産業分析を行う事によって、広域圏の産業連携モデルを作成する。


赤渕 明寛(潟qューネス代表取締役)
北海道GIS・GPS普及推進研究会の行政支援部会幹事として、統合型GISエンジンを独自開発してきた。今回のプロジェクトでは、ソフトウェア会社の特性を生かして、広域連携並びに合併を視野に入れたシミュレーションをGISを用いて行う。


今村 樹憲(潟Nレオ・ムイナス代表取締役)
北海道産学官研究フォーラム運営委員として、これまでの地域活性化プランナーとしての実績を生かして、この広域圏における観光戦略、広域農業の可能性を立案する。

茂庭  譲(鰹報企画専務取締役)
月刊イズムで継続的に連載してきた市町村合併シミュレーションにおける取材経験を生かして、今回のプロジェクトの主に、報告書の編集面を担当する。

藤原 達也(北海道産学官研究フォーラム事務局長)
主にコーディネイトを行いながら、プロジェクトの企画立案、町村長のヒアリング、報告書の編集作業を行う。


監修 
山村 悦夫(北海道大学大学院地球環境科学研究科教授)

北海道GIS・GPS普及推進研究会の運営委員長の立場で、研究会メンバーの調整にあたると共に、モデル規範適応理論等を用いて、対象となる町村の広域連携の経営分析を行う。