小麦トラストちょっと報告      プロジェクトスタッフ 伊藤美弥子

 小麦トラストに参加されている方にはファームレター等でご報告しましたが、 今年、 ハルユタカ、 ホロシリ、 ホクシンの三品種とも播種はほぼ平年並に完了したものの、 春の小雨 (かんばつ)、 夏といえないような夏の多雨と日照不足の為、 収量はあるものの品質はあまり芳しくなく、 その後の調製にも大変時間がかかり、 11月から予定していた製品発送を1ヶ月遅らせなければならなくなりました。 製品の到着を待っていて下さる皆さんにはご迷惑をおかけしました。 おてんとうさまにはかなわない訳ですが、 この毎年違う気候はおてんとうさまのせいだけではないだろうなとか、 毎年出来が違って味も違う筈なのにいつも同じものがお店に並ぶのは何故なのかと考えるには良い機会でした。 思わぬことが連続している一年目ですが、 12月から3月まで4回、 滞りなく美味しいものをお届けできればと願っています。 加工メーカーさんや生産者の方もどきどきしているかもしれませんね。

 9月には道産小麦を使いこなすため、 小麦トラスト参加メーカーである 「れもんベーカリー」 でパン作り講習会を行い、 2日間で17人の参加者がありました。 当日はパン作りのベテラン職人である川中さんに教えて頂きながら、 生地作りから焼き上がりまでを体験しました。 輸入小麦とは違った扱いのコツが聞けたり、 参加者同士のお話が弾んだりと、 とても楽しく過ごすことができました。 使いこなすことができれば、 作業は楽しみです。 もし、 ひどく失敗しても小麦だから粘土にして遊んだり、 お顔のパックなどもいいかもしれません。


小麦製品の発送を終えて      プロジェクトスタッフ 萩原 英樹

 3月10日に14年度小麦トラスト最後の製品発送を終えました。 小麦は穂の形状などから収穫期の雨の影響を受けやすく収穫までは、 気を許せない農産物の一つでした。 当初11月からスタートの予定でしたが、 国の検査・調整が遅れ、 12月から3月までの4ヶ月間で行ないました。 参加メーカーは、 製パン業2社、 製麺業2社、 製菓業2社そして麦稈を飼料にした牛牧場が参加。 135口の参加者は、 消費者98人の他、 生産者、 メーカー各社も加わっています。 消費者からは、 「道産小麦は本当に美味しい。 とっても満足しています」「子供たちが全部食べてしまった」、 「来年はお友達を誘います」 と嬉しい声を聞かせてもらいました。 また参加した生産者からも 「今まで自分が作った小麦で食べたことなかったから…。」女性たちからは「自分の粉でパンを作ってみたい」と地元から一歩踏み出した案もありました。

 4回の製品の他にも現場の顔が見えるように全生産者を紹介したファームレターを2回、 農業情報・メーカーを紹介した小麦通信を4回発行しました。


小麦通信と4回の製品を一部紹介します。
 小麦は米や野菜などと違って、そのまま食べることがなく、とても大きなロット(数十t〜数百t単位)で調製する作物であるため、普通は生産地や生産者を指定することができません。道産小麦といっても、石狩?空知?十勝?要するに北海道のどこか産MIXになります。
 小麦トラストの小麦は、ファームレターでご紹介した江別・美唄産で生産者もはっきりしています。これは他の小麦と混ぜないで集荷・調製・製粉するということで、大変手間のかかる作業です。生産者、JA、製粉、加工メーカーが参加して顔の見える、素性の確かな小麦の製品ができました。原料の小麦だけでなく副材料もできるだけ地場のものにこだわった逸品ぞろいです。これは全国ではじめてのことです!小麦ツアーに参加された方は麦畑や生産者の顔を思い出しながら、行かれなかった方はファームレターをながめながら、味わって頂けたらと思います。(小麦通信より一部抜粋)
12月の製品

・れもんベーカリー/食パン、カンパーニュ、ミニ・シュトーレン

・十勝しんむら牧場/ミルクジャム

・協立食品/まんじゅう“こむぎ丸”

・サッポロ麺匠/生パスタ

1月の製品

・フタバ製麺/半生うどん

・れもんベーカリー/天然酵母山食、天然酵母あんぱん

・サッポロ麺匠/塩ラーメン

・ティンカーベル/マドレーヌ、フィナンシェ、

・江別製粉/薄力粉(ホクシン)

2月の製品

・ティンカーベル/パウンドケーキチョコレートとくるみ、パウンドケーキウィークエンド・シトロン

・れもんベーカリー/雑穀パン、フーガス

・札幌スィートクラブ/ダッチローフ

・フタバ製麺/手延べうどん

・江別製粉/おやつイン

3月の製品

・ティンカーベル/くるみ入りクッキー、チョコレートリング

・れもんベーカリー/酵母クロワッサン

・札幌スィートクラブ/パン・ドゥ・ミー

・サッポロ麺匠/塩ラーメン

・協立食品/まんじゅう“こむぎ丸”

・江別製粉/薄力粉(ホクシン)

小麦トラスト交流会報告(3月8日)

去る3月8日、リンケージプラザにて、生産者、JA、普及センター、加工メーカー、消費者の多彩な顔ぶれが一堂に会し、小麦トラストの一年をふりかえって率直な意見を交わし合いました。れもんベーカリーの川中さんがトラスト小麦で作ってくれたパンを食べながら、これまでお届けしたトラスト製品についての話題を皮切りに、さまざまな質問や意見が交わされました。

製品について
まず、消費者からは「製品の賞味期限が短いのはなぜ?期限内に食べきることが出来ない」・「大ぶりのパンが多い、小さい製品にしてくれないか」・「通年発送することはできないの?」といった質問が出されました。これに応えて、加工メーカーからは「小麦の持ち味をひきたてる製品を作ろうとすると、どうしても賞味期限が短くなってしまう。添加物を入れたり、原材料を変えれば賞味期限を延ばすことはできるのですが…」・「小さいパンでは小麦本来のおいしさを表現しづらいという問題もある」「小麦粉の賞味期限が約4ヶ月なので、通年発送することはむつかしい」といった説明がありました。

生産と需要のギャップについて
つづいて、消費者から「どうして、人気のあるハルユタカの小麦粉は手に入れにくいの?」といった質問があがり、生産と需要のギャップについての話題に移っていきます。生産者・JA・普及センターからは、ハルユタカを代表とする春まき小麦は、ホクシンなどの秋まき小麦に比べ生育期間が短いため収量が低く、病気や穂発芽が発生する危険性も強いため、安全性に欠けるハルユタカの作付面積がもともと少ないこと。病気や穂発芽を避け、増収が見込める『春まき小麦の初冬まき栽培』を確立させてきた江別市以外では、今後ハルユタカが激減する可能性があること等の説明がありました。

無農薬栽培は無理なの?
また、「小麦の無農薬栽培はできないのですか?」といった消費者の質問に対し、生産者からは、「麦作では難しい。極力使わないようにしているが、天候に左右されやすい小麦だけに、農薬をまかないと製品が台無しになってしまう可能性がある」と、自然相手の農業の難しさに理解を求める場面もありました。

小麦トラストに参加して
そして、交流会の締めくくりに、今年度、小麦トラストに参加しての感想を聞いてみました。時間の都合上、出席者全ての声を聞くことは出来ませんでしたが、消費者からは「今回の交流会に参加して、初めて生産者の顔をみることができて、大きく意識が変わりました」・「産地見学会に参加して大変刺激になった。ぜひ皆さんも参加してみて!」・「はじめは、受身がちだったけど、積極的に応援していきたいと思うようになった」、生産者からは「自分達の畑で収穫した小麦を食べて、小麦生産に対する意識が大きく変わった。より良い小麦を生産していきたい」、加工メーカーからは、「他のメーカーの製品に刺激を受ける。改めて、道産小麦はおいしいと思った。このトラストに参加している喜びを感じる」といった感想をいただきました。また、今後のトラスト運動について、「若い人たちにもっと参加してもらえるように、PRの場や伝え方を考えてほしい」「小麦通信にもっと色々な人を紹介してほしい」といった意見もいただきました。最後に、来年度も小麦トラストに参加したい!と多くの方からのうれしい言葉をいただいて、今年度最後のイベントは終了しました。

今回、様々な意見が出ましたが、もっともっと交流を深めていく必要があると感じました。それぞれの立場の方々が相互に意見を交わし理解を深め、検討を重ねていくことによって自分達に届く小麦トラストの製品をより良いものに変えていく可能性を持っているということ、それこそが小麦トラスト運動の意義であり、その積み重ねがトラスト運動を発展させていくのだろうから。